被災地の人々
ニュースでは毎日被災地の方々の様子を写している。その中でも特に病気で自宅療養している方の様子が印象的であった。集会所でベッドを置いて回りに迷惑になるからとビニルハウスにいる御夫婦。脚が悪いから迷惑がかかると施設に入らず、赤紙(倒壊する危険あり・使用禁止)を張られた家にいる老人。
私は耐震補強には3つのステップがあることをいつもお客様に話をしている。
1)寝室を崩壊させない
寝ている時が一番無防備であることは言うまでもない。その部屋がくずれれば即死する可能性がある。先ずは寝室だけは壊れないようにする。
2)家を倒壊させない
大地震ではたとえ起きていても立っていられないほどの揺れが起きる。外に逃げ出す余裕があるのかどうかは起きて見なければわからない。それでは家の何処にいても倒壊しない程度のレベルまで耐震補強を行なう。
3)家を損傷させない
家が何とか倒壊を免れたとしても、赤紙を張られてしまうと使用禁止となり、避難所生活を余儀なくされる。避難所では新たなストレスの原因となり、仮設住宅などは長期滞在となることが多い。壊れそうでも、自宅にいたいと思うはずだ。赤紙を張られないように、復旧できる損害程度に済む様に補強をする。
現行の建築基準法のレベルであれば、震度6までは損壊しない、震度7までは倒壊しないレベルを想定している。国や地方自治体の補助金制度の要件はほとんどの場合二つの要件が必要となる。
1)昭和56年7月以前のたてもの(新耐震基準以前)
2)耐震補強の結果1.0(一応倒壊しない)レベルまで補強をすること
この二つの要件がネックになって耐震補強は進んでいかないと私は考える。昭和56年以降でもバランスが悪い建物は危ないし、補強をすべきものも多い。また耐震レベルを1.0以上にすることはほとんどの場合建物全体の補強を要する。補強より仕上げの復旧予算がかかるのだ。そこまでの予算を確保できなければ補助を受けられないのだ。しかし一般の人の感覚は先の1)、2)段階が急務ではないか。教訓はなかなか活かされていない。