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大和にある青木工務店社長の日記

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2009年 10月 18日

社寺建築 奥谷組

京都2日目。午前中は社寺建築専門の奥谷組さんを見学させていただきました。
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奥谷組では元請建設会社という側面と、その木工事、製材と3つを自前で運営しております。手がけている施設は有名どころがずらり。西本願寺、知恩院、北野天満宮、上賀茂神社、伏見稲荷、大徳寺、東福寺などなど挙げればキリがありません。
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神奈川では円覚寺ですね。
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千田社長自らの案内で建物内を御案内していただきました。まずは5階の展示室の展示を見ながら説明を聞きます。瓦の重さも昔と今とでは違います。今のほうが重いようです。その代わり葺土が減っているので同じくらいになるようです。
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化粧絵の具での工程です。漆を塗ってから金箔を張ります。以前作った金の茶室でもそうでしたね。
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社寺建築の小屋組みです。社寺建築独特の屋根の反りを形作るのはこの跳ね木によります。
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屋根の銅板平葺きはいまや高級建築の代名詞のようですが、もともとは桧皮葺を真似た略式なのだそうです。胴板平葺の鼻隠し下地を奥谷組では木材をえぐっているそうです。重なるハゼの部分の厚みを考慮しての一手間なのだそうです。
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こちらが桧皮葺きです。通常の屋根の40倍の価格になりますよ。
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窓の外にある手摺です。
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外すと木部はこれしか残りません。特に丸は注意!
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これ、なんだか分かりますか?和室の鴨居に着く長押です。
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社長いわく、長押も昔は構造材だったようです。
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数々の仕口も展示されておりましたが、これも日本にあったのですね。集成材で行われるフィンガージョイント。
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これは門扉の模型です。神様が通るときだけなので神社ではほとんど空けられる事が無いのですが、開閉の際にはわざと音がなるようにつくるのだそうです。なぜかというと、神様が通るときには暗くしてみな低頭で顔を開けられないのですが、音が鳴ることによって事の始まりと終わりが分かるのだそうです。
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上から見たところです。楔を叩いて締めることで再び音を出るようにするそうです。
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作業場には桧、杉はもちろん、台湾桧、ラオス桧など世界の白木が集められておりました。
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何十人という大工見習いが作業をしております。
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製材後の材料。影節がでそうなので注意書きがありますね。
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何気に書かれている「知」の字は現在工事中の知恩院の材料を表しております。
社長から仕事に対する考え方を色々と質問しました。自分が目の届く範囲での会社の規模とすること、良いものをしっかりとつくること、棟梁・社長の苗字が変わっていった経緯も伺いました。本当にお世話になりました。

by yamato-aoki | 2009-10-18 16:43 | 講習会 | Comments(0)


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